「カガク?なんだそれは!?」

『あなたが使おうとした炎の魔法は、
 酸素の濃度を変えてやるだけで無意味になります
 ただそれだけです』

「何を言っている?
 魔法にそんなもの関係ある訳がないだろ!!!」

『ありますよ
 そういえば氷の魔法も使おうとしましたね、それは空気中の…』

「アァァァ!!ウルセェ~ッ!! そんな事聞いたこともない!
 呪文唱えれば出るんだよッ!精霊と契約してればッッ!」

『それは間違いではないですが、
 ほんの少しでも条件が変わるだけで出来なくなるんです』

「じゃぁ雷の魔法もか?」

『電気は湿気を変えてやるだけで出せなくなります』

「何言ってる!?
 雨の日だって関係なく出てるだろうがッ!!」

『それは雨雲の上で作られたものだからです』

「ハァァ!?意味わからねぇ!おまえ絶対頭おかしいだろ!?
 カガクってどんな魔法なんだよッ!」

『科学は魔法じゃありません
 もういいですか?』

わたしは男の向かって手をかざした。

「ギャァァァーーーッ!!待った!!ウワァァウワァァ~~~!!!!」

わたしは待たなかった。

「ウガァァァァァァ!!」

男が声を出したせいだろうか、放ったプラズマの狙いが外れ、床に大穴を開けた。
しかし、足を少しかすめた為、男の足から血が吹き出していた。

「イテェェ!!!イテェェヨォォ!!!」

男は大声を上げながら隣の部屋に這って逃げて行った。
引きずった血の跡が線になって続いている。