「おいおいーッ、このお譲ちゃん泣いちゃったよー!」

コイツ・・ッ!笑いやがって。
悔しい、こんな奴に・・こんな奴なんかに。

「あなたも登録に来たのですね?
 わたしも今日が初めてなのですが、良かったら一緒に登録しませんか?」

『あ・・』

声のした方向には、長く美しい黒髪に一風変わった色のローブを着た綺麗な女の人が立っていた。

「おいおいーッ!あんたも新人かぁ?
 キレイな顔していかにも寄生しるって匂いがプンプンするわぁ」

その女の人、あの男が言い終わるかの辺りで、床が抜ける程の音を立てて地面を踏んだよ。
その音にその男だけじゃなく、周囲の連中も言葉を失ってしまったんだ。

「わたしはまだ新人ですらない初心者なので、
 うっかりすると魔法を暴走させて二億度の熱で、
 色んなものを蒸発させてしまうかもしれませんので気をつけて下さいね」

うはぁ・・美しい顔でニコっと笑った。

あれは本当に痛快だったなぁ。
あの男、何も言わずに壁に戻って下向いてずっと剣をいじってたよ。

その後、あたし達は組合に登録したんだ。
最初の仕事もキッチリもらえちゃった、もちろんあたしとあの人の2人でパーティー組む事になったんだ。

『あ・・あの・・』

「何ですか?」

そう言ってあの人は首を少しかしげて微笑んだよ。
うぅ、事ある毎に美しいナァ。

『あ・・あたしと一緒なんかで良かったんですか?』

「と、言いますと?」

『も・・もっと凄い人が他にイッパイいるじゃないですか』

「それは新人同士お互い様ですよ
 それにわたしはあなたと、あなたの小細工魔法士というクラスがとても気に入りました
 なのでお願いしてるのはわたしの方です」

『あ・・本当ですか!?』

本当にうれしかったなぁ、あたしはその時この人と一緒に仕事がしたいって思ったよ。
そうさ、思ったんだよ本当に。