─その頃ラピスは

カボチャの馬車の上から聖なるオーラを使い、人の形をした物体を次々と引いていた。

「おぉ?
 コイツら仲間にも反応して追いかけて来るのか、こりゃー楽でいいな」

ラピスの乗ったカボチャの馬車の後ろからは、既におびただしい数の物体がズルズルと追いかけて来ていた。

「おっと、スゲェ数だな
 そういやぁ、奴らはここにも来るかもしれないんだったよな」

そう独り言を言った矢先、物体が目の前に生えてきた。

「言った側から早速来たか、
 ルビーの作った馬車からは降りてもらわないと怒られるんでな」

生えて来た物体は「ふぁ」と聞き取れる音を漏らした。

「ん?おまえ何かしてるな?」

ラピスの体の所々がプチプチと点滅している。

「出血でもさせようって思ってるのか?
 残念だがオレには効果がない様だな」

そう言ってラピスは物体にゆっくり近づくと、大きな足で物体を馬車から蹴り落とした。
蹴り落とされた物体が石畳の地面に落ちると、空気の抜けたボールの様に間抜けな音を発して転がった。
だが、次が背後に別の物体が生えて来ており、更に左右にも生えかけて来ていた。

「片っ端から叩き落してやる」

その後、馬車からは引っ切りなしに人の形をした物体が転げ落ち間抜けな音をさせた。

「キリがねぇ…ゴールはまだか?」

その後も休む事を許さないかの様に、物体は馬車に生え続けていた。
流石のラピスにも少し疲れが見えて来ていた。

息を切らせ、そして全身を光らせながらラピスは物体を落とし続ける。
そして、馬車は最終目的地である魔導士の居る場所へと向かって行った。

馬車は街の中央に位置する広場に入った。

「くッ…どうやら着いた様…だ…な…」

ラピスが苦しそうな声を出した理由、それはあの物体がカボチャの上に山盛りに生えていたからだった。
ラピスはその塊達に囲まれ、動くに動けないまでになっている。