わたし達はいよいよマトラ旧市街攻略の作戦を開始する。

『それじゃ、ルビーさんお願いします』

「まかしときー!」

ルビーが軽くステップを踏むと、周囲の建物がバリバリと豪快な音を立てて解体され、この建物の前に資材が次々と飛んできた。

「おぉ!?こりゃ小細工どころかちょっとした建築だな」

「あたしの小細工魔法があれば建築で食べていけるなッ!」

「だがこれは・・まさか」

ルビーが作り上げたのは巨大なカボチャの馬車だった。
ご大層にそのカボチャを引く為の巨大な木馬が二頭も付いている。

「うぇッ!このメルヘンチックなのにオレは乗るのか?」

「勇者さまには一番お似合いだろッ!?
 まさかあたしの力作に文句でもあるのか?」

「…じゃぁオレ行くわ」

ラピスは部屋の窓からトンとジャンプして、カボチャの上に飛び乗った。

『では合流地点で会いましょう』

ラピスはとても嫌そうな顔で頷き、わたし達に軽く手を振った。

「ハイヨォーッ!」

ルビーが掛け声をかけると小細工魔法で作られた馬が嘶きを上げ、カボチャの馬車は石畳の街道を快音を発して走り出した。

『それじゃ、わたしたちも行きましょうか』

「そうだなッ!」

ルビーとわたしはラピスと合流する地点へと向かう為、次の準備をはじめた。