あたし達は散歩を終えて魔戦士組合のテントに戻って来た。ヘリオも既に戻ってのんびりと横になっていた。
他の組合員も本を読んだり、道具の手入れをしたり好きにしてまるで緊張感は感じられなかった。


「お?随分と遅かったな」

あたし達が戻ると起き上がって、陽気な口調でそう言ったんだ。

『うん、街を散歩して来たんにゃん』

よかった、ヘリオの様子はまた元に戻っている。あれから気まずいままだったらどうしようかと思っていたから安心したよ。


『ベイカであたし達がこの作戦に参加する時、
 もう2人ここに向かってるって聞いてたんだけど、ヘリオの他のもう1人って誰だろうんにゃん?』

「ん?まだ他にも居たのか?
 オレはここに来てる連中とは一通り話をしたが、そんな奴は居なかったぞ?」

『んー?そんじゃ遅刻でもしてるのかんにゃん?』

「まぁ、明日の朝に間に合えば問題ないんだ
 その時に来るのかもしれんぞ?」

『そだった、
 ところでヘリオは明日の作戦、どう戦うつもりなんだんにゃん?』

「どうって、オレは目の前に現れた敵をただ倒す事しか考えてないが」

『そか、そんなもんでいいのか』

「んあ?他に何か必要な事なんてあるのか?
 いつもオレはそのやり方でやってるんだが」

ヘリオって極めて単純でとても作戦とは言えないやり方がよく似合いそうだ。
もし、事前説明で「目の前に敵が現れたら倒せ、以上」だけだったら、今日の夜8時にある事前説明も1分もかからないだろうな。

「ファイターというクラスは真正面から戦うのが一番得意らしいです」

「お?クリーダお前よく分かってるな」

「それ故に、それ以外の戦い方をする器用さはないそうです」

目をつむってそう言うクリーダのこの言葉はもちろん冗談半分だ。

「ワハハ!まぁ実際そうなんだがな」

もちろん、ヘリオの戦闘中の解析力が相当なもんなのはクリーダもよく分かっている。
戦いの中で相手を瞬時に見切り、どう対処すればいいかの答えを導き出す事が出来るんだろう。
クリーダの丸い玉の魔法も一瞬で見抜いてたし、あたしが地面センサーを使ってる事もバレてた、更にそのセンサーに死角が存在する事までも分かってしまう程なのだから。