わたしは片手で固まったルビーを引っ張ると、もう片方の手で人の形をした物体へ向かって青白く輝くプラズマを放った。
プラズマが人の形をした物体に触れると、軽い音を立てて接触した部分は一瞬で蒸発する。
人の形をした物体は、人ならば心臓のある辺りが丸く抜けてしまっていた。

「たりゃぁー!」

ラピスは今日はじめて剣を抜き、人の形をした物体の首から上を斬り落とした。
首から上は床へボトッと言う音を立てて落ちた。

「ふぅ・・」

『ラピスさん、まだです』

首から上が無くなったと言うのに、その人の形をした物体は今までと全く変わらずに変な音を発して近づいて来ていた。
わたしはプラズマで物体の全てを蒸発させた。

驚くのは、斬り落とされた首から上も本体と同様に前進を続けていた事だ。
人の形をしてはいるが、全体で1つの生物というものではないらしい。

「コイツ…マジヤバいぜ…」

「ひょー!びっくりしたのだ~
 ってあれ?」

「ん?お前の手」

『あ、ちょっとケガしてたみたいですね』

左手首から血が滲み出ている。
ルビーを引っ張ってプラズマを放った時、あの物体に何かされた様だ。

「ちょっとってこれは…」

「あぁぁ…」

見る間に皮膚の毛穴から血がどんどん染み出して来た。
最初は少量だった出血は、流れる様に滴りはじめ、その範囲はどんどん広がっている様だ。

「な…なんだこの出血は!?」

左腕が凄く熱くなってきた。

『なるほど、きっと皆これにやられたんですね』

「ちょっとーッ!そんな呑気な事言ってる場合じゃ!」