カッコ付けて置いて結局生半可な気持ちらしい。
ヘリオはスラリと両手剣を片手で抜き身構えた。彼が持つとあの剣が凄く軽そうに見えるけど、あれってクリーダと二人がかりでもビクともしなかった剣なんだよね。
身構えたヘリオを見てクリーダも身構えたよ、あたしも今回は勉強させてもらうつもりで頑張ろう。


「いつでもいいぞ」

「行きますッ!」

クリーダは手を前にかざし、ヘリオに向かってプラズマを放った。紫色に煌く光の帯が凄い速さでヘリオへと向かって伸びる。
しかし、ヘリオはそれを素早く左に避け、体を目一杯下げた状態から一気に前に飛び、クリーダとの間合いを詰めた。
すると、ヘリオの目の前に黒く透き通った大きな玉が現れた。すかさず後ろに飛ぶヘリオ。その丸い玉は、耳元で思いきり手を叩いた様な鋭い音を立ててはじけた。
あの魔法って初めて見たけど随分と凄い音がするなぁ、耳が痛いや。


「うほぉー、今のはヤバかったな」

「超重力の魔法です
 触れると光速を超えたスピードで、あらゆるものを押し潰しますので気をつけてください」

「上等!…む…なにぃ!?」

ヘリオが声を上げて驚いた理由、それは彼の足はぬかるんだ沼にはまっている様に動きを封じられているからなんだ。
さっき後ろに飛んだ時、あたしはヘリオの着地した地面の素材をやわらかく変化させておいた。


『それなら飛べないんにゃん?』

「お前って面白い魔法を使うな」

「行きますよ」

その声と同時にクリーダがプラズマを放った、しかしヘリオは剣を振り回した遠心力で沼を抜け出した。
凄く軽そうに持っているけど、その重さはヘリオの体重よりもずっと重いのだ。