『ベッドは二段にしてみようか?』

「それもいいですが」

『わわっ』

クリーダはスックと立ち上がり、あたしをベッドの奥に倒すと手前に寝そべってあたしの手を取って自分のお腹の上に乗せた。


「これでどうですか?わたしはいいアイデアだと思いますが」

『た、確かにいいアイデアだけど…』

あたしはクリーダの手を引いて、胸にあてがって胸の鼓動を伝えた。

今更こんなドキドキするのもおかしいけど、といかく今すっごくドキドキしてるんだ。もしかして何かを期待してるのかな?


「凄い事になってますね、一体どうしたのでしょう」

『わかんないけど、急になっちゃった・・目が回りそう』

「それは困りましたね、いい治療法を知ってますが…」

クリーダはあたしを引き寄せて、心臓の鼓動をあたしに聞かせる様に抱え込んだ。トクトクと脈打ってる音と呼吸する音が聞こえる。
その音はとても心地よくて安心出来る感じがしたんだ、暫く聞いてたら段々ドキドキが治まってきたみたい。


「赤ちゃんはお母さんの心臓の音を聞くと安心するそうですよ
 きっと人間は根本的に心臓の音が好きなんですね」

大きな声がクリーダの胸に付けている耳から直接聞こえて来た。


『へぇー、クリーダはお父さん役なのにお母さんみたいな事知ってるんだね』

それから少ししてあたしは目が覚めた。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
クリーダを見ると彼女も眠ってたよ、ここにクリーダが居るってやっぱ新鮮な光景だな。あたしは触れるか触れないかの加減で、クリーダをゆっくりとなぞりながらその様子を楽しんだ。


「ハッ!?」

『おや、起きたッ!おはよーッ!』

「おはようございます…、夢まで見てしまいました」

『へぇー、どんな夢だったの?』

「え…、それはちょっと…言えないです」

クリーダは俯いて少し赤くなっていた。ふふーん。


『ププッ』

「な、何ですか?」

『こんな夢だったりして』

あたしはさっきまでやってた様に、触れるか触れないかの加減でクリーダをなぞった。


「…あなたでしたか」

『楽しかった?』

「えぇ、とっても」