あたし達は胡散臭い作戦にあえて参加する事にしたんだ。

「突然変異の魔物の討伐」って言う依頼は1年前にもあって、ズッコケ芸人の話だとランク10のバーサーカーはそれで命を落としたらしい。
ランクって強さの目安もあるけど、魔戦士組合が設定した目的はどんだけ仕事が出来るかだから、単純にはランクと強さは比例しないんだ。
かといって、特例の仕事を100%こなせたって事からも、相当な実力を持ってる事は確かなんだろうけどさ。


『ねぇねぇ、クリーダ?』

「何ですか?」

『さっき言ってたバーサーカーってどんなクラス?』

「文献を読んだだけで、わたしも実際に見た訳ではありませんが、
 戦う事でトランス常態になり、自らをただ戦うだけの存在にする狂戦士だそうです」

『へー、戦うだけの存在ねぇー
 で、トランスってなんなの?』

「そうですね、バーサーカーの場合だと人間の壁を超えるって事じゃないでしょうか?
 人間は絶えず色んな事を考えてますけど、戦う事だけに全てを集中するのでしょう」

『何か危ない人みたい』

「そうですね、パーティーは組んだりはしないみたいです
 戦い出すと味方とか敵とか関係なくなってしまいますから」

『うへー、あたしはランク10になれたとしてもバーサーカーにはなりたくないかな』

「えぇ、一緒に冒険出来なくなりますからならないで下さいね」


そんな事を話しつつ、あたし達は服の素材を買いにヨザワ屋というお店にやって来た。
ヨザワ屋はかなり年季の入った落ち着いた佇まいの建物で、何代も続く老舗のお店だ。
お店の中にはクルクルと巻かれた布達や、素材達が所狭しと並べられている。あたしはそれらを見てるだけでウキウキしてたまらなくなるんだ。