「難易度Sのその上にはな、特例ってのがあるんだよ
 もちろん一般には想像も付かねぇスペシャルな難易度だ
 それはランク9以上じゃないと参加出来ないんだが、ランク10のバーサーカーはその仕事をただの1度も失敗した事がなかったんだよ」

『なにそれ!?なのになんで難易度Aで失敗してんの!?』

「この仕事は絶対おかしい、一応忠告だけはしておく
 ・・特にお前は泣き虫なんだから気をつけろよ」

ズッコケ芸人は目線をそっぽに向けてそう言ったんだ。

『ははーん、もしかしてあたしに惚れたな?』

あたしは両手を小さく横に広げ、やれやれと言うポーズをして見せた。

「プライドが邪魔をして素直に言えないんですね」

「バッ!バカッ!変なこと言ってんじゃねーよッ!」

『いだッ!また角ッッ!!』

いきなり声が裏返ったと思ったら、またもや持っていた本の角で叩かれたよ。
と言うか、なんでこういう時っていつもあたしだけがぶたれるんだ!?
ズッコケ芸人めッ!1回位は反撃してやろうと思ったけど、もう豆粒程の大きさになってるよ。足だけは恐ろしく速い奴だ。

アイツが逃げる瞬間「戻って来いよ」って聞こえたな、もちろん戻って来るに決まってるさ。

でもあたし達はこの時、まだこの作戦の本当の意味を知らなかったんだ。