「て~てれ~ててれれ~♪」

夕刻を前にルビーは適当に思いついた様な、でたらめなメロディーを口ずさみながら帰ってきた。

「おっ?ルビーが帰ってきたな」

『ルビーさんおかえりなさい』

「さてさてー、お二人さん!
 あたしの居ない間に少しは親密度アッポしちゃったのかぁ~?」

「あ?なんだそりゃ?」

「おんやぁ?
 今日が最後の日かもしれないのだぞ?」

「おいおい、縁起でもない事いうんじゃない
 明日には全員揃って帰るに決まってるじゃないか」

「おーッ!さっすが勇者さまは前向きだな!」

『ルビーさん、街の様子はどうでした?』

「そりゃもー!なーんにもなさすぎて退屈だったさー
 一体夜になったらどうなっちゃうんだろな!
 何かわくわくしてきたぞ!」

そして、ルビーはあたかも腰の辺りに小さな袋を結びつける様な仕草をした。
今日のルビーはみんなを緊張させまいと思ってか、いつも以上にトーンが高い。

『それじゃ、早いけど夕食にしましょうか』

「そうだなッ!パーッと豪華にいっちゃうかッ!」

と言っても食事とは、それぞれの持ち合わせた保存食なのだが。
ルビーはテーブルに小さなクロスを敷いて、とっておきのお菓子を並べた。
これはルビーがいつも作戦前にやる事で、彼女にとって縁起物みたいなものだ。

「これは最後の食べ納めじゃなくだな
 絶対また食べるぞー!って思う為のものなのだよ!」

「ほぉ?いい気構えだ、頂こう」