そう言えばスフェーンとシンナバーって今頃どの辺りだろう。
サヨナラすら言わなかったけどまぁいいか、嫌でもその内また会いそうな気もするし。

食事を済ました後、あたし達は魔戦士組合に来ていた。


『今度は絶対難易度Aの仕事を受けるんにゃん』
 なになに悪魔祓い?これはちょっと無理だんにゃん』

「また…んにゃん…ですか」

『へ?あたしそんな事言ってた?』

「言ってましたよ」

『うー、次のキャラ考えないと…』

「今のままでいいんじゃないですか?今のが素ですよね?」

『うーん、今はそうかもしれないし、本当は違うかもしれない…かな』

そう言ったのはウソじゃないんだ、生まれてからこんな喋り方なんかしてなかったし。
いつも目立たず隅っこの方にいて、喋らないといけない時だけ俯いたまま気弱そうに小さい声で話してた。
だから誰にも期待されない子、あえて言うならそれがあたしの素だったんだと思う。でもその素はあたしは好きじゃなかった。
この喋り方はあたしが理想を組み立てて使ってるに過ぎないけど、今にこれが自分だと言える素を手に入れたいと思ってる。


『じゃぁさ、クリーダも考えてよ
 次のあたしの口調』

「そういうのは全く分からなくて」

『ねぇ、クリーダのそのですます調、それってクリーダの素?
 なんであたしに敬語で話すの?』

「わたしはこれがごく普通です、特に敬語という認識はありませんでしたが、
 いけませんでしたか?」

『認識なかったんだ…
 まー、キャラに合ってるしいいんじゃない?』

ホントに驚いたよ、クリーダってあの喋り方が日常会話の口調だったんだね。
周りの人は丁寧に喋られて恐縮したり、優越感感じたりしたんだろうけど。