平原に現れた巨大な火の玉は大爆発を起こした。

何だあの爆発は!?あたしの思っていた魔法のスケールを遥かに超えているじゃないかッ!
まぁ、あたしの想像してい攻撃魔法なんて「そりゃーっ!」って、火の玉とかを飛ばす程度だったんだけどさ。
それが、天変地異か!?隕石の衝突か!?って位の、もはや現象と呼ぶスケールの事が起こった訳で、それに比べたらあたしの魔法って何てみみっちいんだとまた落ち込みそうだ。

平原の彼方に雲が空高く立ち昇っているのが見え、あたし達の乗った乗り物はそれに向かって走っている。
少し進んだところから地面は灰になった草が舞うだけになって来た。
爆発の熱が地面に残っているみたいで、乗り物の中にもその熱は伝わってきてかなり劣悪な環境の空間と化している。

「だめだ…これ以上は熱くて進めないよ」

遠くの地面が蜃気楼の様に歪んで見える、こんな状態であの二人は大丈夫なのだろうか。
あれをクリーダが使ったとしたら、きっとクリーダは無事なんだろう。
でも使われたスフェーンは?しつこい様だけどあたしがスフェーンを嫌いとは言っても、彼女の命まで否定はしていない。
スフェーンが真剣だったのは分かるし、取った行動だって理解出来るから。

隣に居るシンナバーの顔は少しの余裕もなく、そして少し震えていた。

『あ、雨』

いつの間にか空に雨雲がかかり、爆発があった方向は白くぼやけ見える。
どうやら爆発のあった中心地で大雨が降っているみたいだ、でもあの水蒸気はきっと地面に落ちた雨が瞬間的に蒸発してるんだろう。あたしはある程度の覚悟はすべきだと思ったよ。

少しして、やっと水蒸気がおさまって来た。雨はどんどん地面を冷やしてくれてるからきっと先に進めるだろう。

『シンナバー、先に進もう』

そう言って、あたしは伏せっていたシンナバーの頭をやさしく撫でてあげた。
そして、あたし達は二人を探しながら雨の中を乗り物で走ったんだ。そろそろ爆発のあった中心に近いのかな?地面が著しく溶解してまっ白になっている所に入ったよ。

「あッ!あ、あれッ!」

シンナバーがいきなり大きな声を上げ指をさした。その指した方向に見えたもの。
それは、まさにあの二人が最後の衝突をした瞬間だったよ。