「ねぇ、あたしが噛み付いた痕どうする?消す?記念に残す?」

『消して下さい…
 スフェーンのはそのままでいいよ、消したらまためんどうな事になるし』

「そうだよね、今度はあたしがクリーダと戦うはめになっちゃうし」

シンナバーが片手でスッと撫でると、ズキンズキンしていた痛みは一瞬で消えた。やれやれだ。
あの二人って今頃どうなってるのかな?無茶してないといいけど。


「じゃぁ最後に、ちょっと仲良くしちゃおうか」

『うなッ!?』

ビックリしたよ、何とシンナバーのやたら健康そうな体が目の前にッ!
スフェーンのトレースって言っても、そこまでする必要があるのかな?


「ギャハハ!おチビたんッ!ちゅきちゅきーーッ!ってこんな感じかぁ?」

シンナバーがあたしをギューっと抱きしめた。
やっぱギューっていいねぇー。別に特別な気持ちがなくてもギューってするのって気持ちいいもんなんだ。

あ、麻痺の効果が切れてたみたいだ、それとも解除してくれたのかな?
シンナバーの指先はあたしをやさしく撫でてくれた。くれたって思うって事は実際嫌じゃないんだろうね。
どうやら別に好意を持ってなくても、あたしの体はそれなりに受け入れるものらしい。

そして、じきに体が反応し出すとあたしは声をもらし始めたんだ。気が付いた時にはシンナバーの背中に手を回してしっかりしがみ付いてたよ。
シンナバーの口元は少し甘い味がする、さっき食べてたドーナツの砂糖が付いてるみたい。あたしはそれらをペロペロと舐めてあげたんだ。

あたしの手が勝手にシンナバーの体をなぞって、色々な情報を得ようとしてる。肌触りとか筋肉や骨、脂肪の付き具合、そしてどんな反応をするかとかまで。
その情報は少しずつ脳に蓄積されて行って、マップの様なものを作って行くの。それはきっとシンナバーも同じだと思うんだ。

二人の弾む息や、時折かすかに漏らす声がお互いの気分を盛り上げて行き、徐々に行為そのものに集中して行ったよ。