シンナバーって弱体魔法も使えるんだった、麻痺させたり、動きを遅くしたり、眠らせたり、沈黙させたり。
神は凶悪な魔法を絶対与えてはいけない人物に与えてしまったのかッ!と、あたしは神を初めて恨んだ。


「これってさー、戦闘以外の方が使えそうな魔法だよね」

『ねぇ、どうしても?』

「さっき言ったでしょ?あたしはスフェーンが興味を持ったものが知りたいって
 探究心なんだよッ!?探究心を持っていたからこそ人は成長出来たんだよ!?」


バサーッ!と言う音と共に、まくり上げた服は関連製品と共に剥ぎ取られてしまった。


『うひぁーーーッ!』

「な…なんじゃこりゃァァーーーッ!」


抱え起こされ強制的にバンザイの形をしていたあたしは、そのまま乗り物の床に自由落下して頭をゴチンと打ち付けた。


『痛ッ!!頭ッ!打ったッ!』

追加更新されたクリーダの印と…、スフェーンに噛み付かれた痕。それらを見てシンナバーが驚いた。


「えぇーーーッ!?何よこれーーーッ!」

『うわあぁぁぁッ!見るなァァァーーーッ!!』

とんでもないものを見られてしまったよ、まさか全員でこの情報を共有する事になるとは。


「・・・ごい…すごいよおチビッ!」

だけどシンナバーの反応は想像と違ったんだ。印の数々を見てフムフムと言うような、教科書を見ている様な真面目な顔をしていた。


「あの二人にここまでさせたって事に心底感心するよッ!全く羨ましいッ!」

『え…?』

「これがどういうものか分かってる?
 ついに制覇したぞーッ!って言う記念の証なんだよッ!
 しかも他人が見た時にも効果を発揮するものなんだよッ!?」

『そんなご大層な意味があるものなの?』

「あるある!おおアリクイだよッ!実際にはアリクイは関係ないけどねッ!
 だって、こういう印を付けないと不安って心理があったって事だから、すっごい真剣に思われてたって事なんだよッ!?」