あたしは戦いを挑んだクリーダに、手も足も出せずにいた。

6つの魔法を同時にキャンセルしてくるって一体何なのッ!?
そもそも、魔法をキャンセルされた事なんて今までなかったのに。
くぅ…考えててもしょうがないかーッ!もう1度試してみよう。今度は位置を変えての連続展開…!


あたしはクリーダの周囲に魔法を展開し続けた、やっぱり次々とキャンセルされていく。

『やるねぇー!これだけ高速に展開しても全部キャンセルされるって驚くよーッ!』

「…ありがとうございます」


あらぁ?憶測だけど結構必死だったりしてくれてるのかなぁー?プラズマも全然撃たなくなちゃったし。

『クリーダ?7x12っていくつ?』

「…84です」

ほらッ、少し遅れ出したんじゃなーい?つまりはあたしと魔法速度はほぼ同じって事ね。
んじゃぁ、ちょっとアレを試してみようかしら。

『あたしの魔法の展開速度って実はこんなもんじゃないのよねぇ
 展開する魔法を同時に複数コピーして別のところにも作れるんだけど、試してもいいかしら?』

「…ッ!」

『展開させる魔法のコピーを2つ、位置はランダムにッ!』


そしたらねー、今までは視覚に現れる事のなかった魔法の断片が少しずつ現れ始めたの。
その数秒後、クリーダの周囲のいくつかの魔法が成功して発動していったわ。
たまらず後ろに飛んで回避するクリーダたん。
あらぁ?ちょっとさっきと表情変わったんじゃなーい?


「流石ですね」

『まー、これでやっと勝負になる様になったってとこかもね』

今まで涼しかった表情に、少し人間らしさが現れたかなぁ?
手を後ろに回して立っているクリーダの余裕さがちょっと気になる所だけど。