シンナバーまで引き入れる気なのかな?あの強引さからすると選択肢は1つしかなかったりして。

「ど、どうでしょうか…」

少ししてシンナバーが修道服に着替えて戻って来た。
薄青のワンピースに銀の十字架、それにウィンプルとベールを被ったシンナバーなんてもちろん初めて見たよ。
へぇ、シンナバーって実はこういうの似合ったんだね。ずっと黙ってれば知らない人には清楚に見えるかもよ。

「うん、よく似合うじゃないか
 誰が見てもこの教会のシスターに見えるよ」

「そうですか?慣れないのでちょっと恥ずかしいですけど」

スフェーンの様子を見たら、目を丸くしてポカンと口を開けていたよ。
心からおめでとうシンナバー!これでスフェーンの心をバッチリ掴んだ事だろうよ。そしてさようならスフェーン!そう思いながらあたしはにんまりとした。

「テン市長、せっかく頂いておいて言うのも何ですが…
 あたしはこの教会に入るつもりは」

どうするかって思ってたら、シンナバーが先手を打ったよ。
確かにシンナバーって教会でじっとしてられるタイプじゃないからね。それに毒吐けないストレスでパンクしちゃいそうだ。

「分かってるよ、それはとても残念だがね
 まぁ気が向いたらいつでも来なさい」

と言う割にテン市長は、シンナバーに修道服を10セット位渡していた。引き入れたさが丸出しじゃないかー!


食事を終えて、あたし達はそれぞれ部屋へと戻って行った。
あたしは部屋に入る時にドアを完全に閉めず少し開けたまま、奥の部屋に入ろうとしてるスフェーンとシンナバーの様子をじっと見てみた。
そしたらさ、彼女達が部屋に入る瞬間にスフェーンがシンナバーの肩に手を回すのが見えてすっごいゾクゾクしちゃったッ!

『あぁーッ!ファンタジーが始まる予感ッ』

両手を胸の前で組み目を閉じると、祈るようなポーズで独り言をつぶやいた。

「そんなに待ち遠しかったのですね」

『あ…』

その言葉にクリーダが反応しちゃった。もちろん反応してくれていいんだけどさ。

少し頬を赤く染めたクリーダの顔があたしに近づくと、自然に目の前が真っ暗になった。
あたたかくやわらかい感触がして、ほんのりと甘い味がしたんだ。