「ホント、おチビはスィーツの類に目がないよねー
 昨日のドーナツもおチビが全部食べてたし、そんなに食べるとおなかの方が胸より大きくなっちゃうよッ?ハムって呼ばれちゃうんだよッ!」

「シンナバーも分かってないなぁー!おチビたんはそこがいいんじゃ…あっ、あはあはは」

口を尖がらしたシンナバーに気が付いたスフェーンは、苦笑いして誤魔化そうとしてた。
いやぁ、まさかこの2人を目の前にして、こんな和んだ会話が出来る日が訪れ様とは思わなかったよ。すっごく色々あったけど。

「ところでシンナバー
 キミのお父さん、フェルドスパー司祭は元気かね?」

「あ、はいッ!おかげさまで父は元気にやってます」

「フェルドスパー司祭は、かつてここで私と共に学んだ友人なのは知っての通りだろう
 実はだね、私は近いうちに司祭長を任される事になるのだが…」

どうやらテン市長の話の目的は、シンナバーのお父さんであるフェルドスパー司祭への託だったみたいだね。
託の内容を簡単に言うと、今後の国際親睦の推進にあたり、テン市長の手伝いをしてくれないかと言う話。
あたしは親睦ってちょっとしたキャンペーンみたいなものかと思ってたけど、実際はもっと大きな目的があって、それはマトラ王国そのものが進めている計画なのだとか。

うーむー・・マトラ王国って最近怪しい動きが多いけど、この国って大丈夫なのかな?

このマトラ王国の近年の主な輸出品は、王国で独自開発された魔法や兵器だ。
もし今後、国家間で直接魔法や兵器が取引される様になったとしたら、それはそれなりの大きな理由が存在するだろう。
今更国々が戦争したりなんて事はないと思うけど、マトラ王国の軍用兵器である「ルクトイ」をついこないだ見せられたばかりだしねぇ。
まさか、あのルクトイまでが販売目的だったりする訳はないだろうけど、一応軍の最高機密って言ってた事だしさ。

「それともう1つ、これは私からのプレゼントだ
 ちょっと合わせてみてくれないか?」

「これは…」

テン市長がシンナバーにあげたプレゼント、それはナントこの教会の修道服だった。