「そこの暇そうなおチビッ!」

シンナバーがビシッと指さして言った。

『うん?』

「しっかりと見ててあげてね」

『うん、スフェーンがこんなにカッコ良かったなんて知らなかったよ』

「ねーカッコイイよねー!あ…だからっておチビは惚れたりしたらダメなんだからねッ!」

『あ、あはは…』

巨大な光の柱の落ちたその場所にあの怪物の姿は既になく、代わりにぽっかりと深い穴が開いていた。
クリーダの話だとこの穴は衝撃波で掘られた穴じゃなくて、超高温のプラズマによって地面が蒸発して出来た穴らしい。
というか、地面が蒸発するって一体どんな火力なんだーーッ!?

今回圧倒的な火力のお陰でとっても簡単に終わった気がするけど、この仕事の難易度ってやっぱりAなんだよね。
きっとクリーダやスフェーンみたいにとんでもない火力を持たない、普通の精霊魔法使いには無理な仕事なんだろう。

─待てよ?

クリーダとならあたしも難易度Aの仕事が出来たって事だよね?次はもっと難易度の高い仕事をやってみようかな。
何たって難易度Aの報酬は100万丸だ!あたしももっと役に立てる様に小細工魔法を磨こう。思ったより意外と早く目的が出来たじゃないか。

それからあたし達は湖から撤収し、テン市長に完了報告をもらいに行った。

「よくやってくれたね、既に報告はもらっているよ
 何しろ今回のキミ達の勇士は、町中の者が見学してたらしいからね」

「そ、そうなんですかッ!?」

テン市長はサラリと完了のサインを書き終えると、その書類をシンナバーに手渡した。
うっへぇー、ずっと見られてたのかーッ!どこまで知られているんだろうな。