スフェーンはビックリした様な顔でシンナバーを見つめた、シンナバーは涙を目にいっぱい貯めてウンウンと頷いている。
シンナバーはゆっくり目を閉じ、スフェーンに何かを期待している様だ。
背景に汚物が映り込み、辺りには汚物からの悪臭が漂っていても、恋と言うのはかくも盲目なものなんだね。

だけどね。

「…ごめん」

「ぅはぁぅッ!」

スフェーンのその言葉にシンナバーは足をくじいた様に崩れ落ちたんだ、その見事な倒れっぷりに思わず拍手しちゃいそうだったよ。

「あいや、今まで気がつかなくてごめんって意味のね・・でも今はまだ返事は出来ないや」

「そ…そかそか」

シンナバーはヨロっと起き上がった。

「あたしがまず、ちゃんとケジメを付けなきゃね
 それに最後位はおチビたんにあたしのカッコイイ所を見せておきたいし」

すっくと立ち上がったスフェーンの表情は変わっていた、そこには凛々しく強い目力が復活していたよ。
そう言えば初めて会った頃はよく見たっけ、スフェーンがこういう目をしてるのを。

「クリーダって言ったっけね、せっかくだけどあなたの出番はなさそうだよ」

「その様ですね、復活された様で安心しました」

「あたしをただの精霊魔法使いだと思わないでね、これでも魔法学校時代は常に最強だったんだから」

スフェーンが迷う事無くスッと天を指差すと、あたし達の目の前に巨大な稲妻が落ちたんだ。