あたし達の後ろから現れたのは、ここには居ないはずのクリーダだった。

『クリーダ!?どうしてここに!?』

「ただの観光ですよ、せっかくのオフですから」

『へぇー、観光ねぇー』

「えぇ、ここの湖がきれいらしいので来て見たのです」

『そりゃ奇遇でしたね』

「奇遇ですよね」

明らかなウソに微笑むあたしとクリーダ。

「ところで、この悪臭の元が今回の獲物なのですか?」

獲物か…、明らかに力関係で上位にある者の発言だよね。
その悪臭の元は、あたしが固めた下半身の異常に全く気が付かないかの様に、尚も前進しようとしている。

「あら、あなたってこないだのおチビのツレ?」

「挨拶が遅れました、いつもこの子がお世話になっています」

クリーダがペコっとお辞儀をしたら、シンナバーも反射的にお辞儀をしてた。

「ところで…、
 わたしの見たところ、このパーティーの火力さんは絶不調な様ですね
 この汚物は全てを消滅してあげないと、倒すことは出来ない思念体です

『思念体?という事は蓄積された思念にままに行動するだけって事?』

「そうです、1つの個体ではないので物理攻撃は効果がありません
 それに対して精霊魔法は1つの有効手段ですが
 消滅させる為には相当な火力が必要です」

『相当ってどんくらい?』

「そうですね、少なくとも7~8千度は必要でしょうか
 ただ、並の精霊魔法ではそこまでの高温を出すのは難しいでしょう
 わたしのプラズマは二億度ありますので、きっとお手伝いが出来ると思いますがどうしますか?」