押さえ込まれたまま、あたしは魔法学校の頃を思い出していた。

<一緒に帰ろう>

スフェーンはいつもあたしを誘い、そしていつもスフェーンの家に寄る様に言ったんだ。
それがあたしはたまらなく嫌だった。だからなるべく理由を付けて断ったり、言われる前に走って帰ったりしてたよ。
でも、そうすると後ですっごく機嫌が悪かったなぁ。

ある日どうしても逃げられない状況になって、仕方なくスフェーンの家に寄った時、あたしは彼女と関係を持ってしまった。
その時あたしは、そういう行為に対するただの興味なんだろうって思ってた。まさか彼女が本気だったとは全く思ってなかったんだ。
でもね、スフェーンは自慢げにクラス中に話して回ったんだ、それはとてもショックだったよ。

それからみんなから特別な目で見られる様になっちゃった。
それまで仲の良かった友達もあたしを避ける様になったし、黒板にはスフェーンとあたしが抱き合う落書きまでされてた。本当に苦痛だったなぁ。
あ、スフェーンと幼馴染のシンナバーだけはずっと変わらなかったかな。その前からずっと毒舌のバッドエンドメーカーな訳だけど。
半ば諦めたあたしは、毎日スフェーンの家に寄る事になったんだ。心は閉ざしていたけどね。

魔法学校を卒業して、ついにスフェーン達に会わなくて良いって開放感から、あたしはあの街に引っ越したんだ。
それからは、たった1つの取り得である「小細工魔法」を使って何でも屋みたいな事してたのさ。
教会だって作ったし、ナベだって直した。今やあの街のあちこちにあたしの手がかかっている位に何でもやったさ。

─自由な3年間だったなぁ