嬉しそうな顔。
 気持ちがバレバレ。
 ついでに言うと。一限は取ってないくせに、偶然を装って来てるのも、私にはバレバレ。
 オオカミの考えてる事なんて、すぐに解る。
 でも、照れ隠しのその行動が、クロちゃんには全然、気持ちがいい位に全く何も伝わっていない。
 ま、私もクロちゃんの困った顔が可愛くて、いつも見てるだけなんだけど。

「あ。なぁウサギ」

 急に振り返られた。

「何?」

 アンタ私に話かけてどうするの。

「あ、ウ……ウサちゃん、アタシ、先に研究室行ってるね」

 クロちゃんが、駆け足で研究室棟に向かう。
 私とオオカミが話し始めると、クロちゃんは気を遣った様にどこかに行くことが多い。

 前から何となく思ってたけど、クロちゃん、何か勘違いしてないかな……。


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