郁斗 side


だりぃ。

親友の愁に誘われたからカラオケに来たけど
正直、何も楽しくない。
王様にもなれないし、特に当たんないし。
まぁ、クラス全員=30人だからしかたないけど。
つか、俺、クラスの女の名前とか3人しか知らねーし。
1人は、愁がマジで狙ってる赤井萌ってそこそこ可愛い奴。
もう1人は、ほとんどの男が綺麗って言ってて、
今日だけで10回以上名前を聞いた城崎彩芽って奴。
そして、最後の1人が俺がこの学校で1番可愛いと思う高田朱梨。

「そろそろ時間的にラストだな。
 せーの、王様だーれだ!?」

赤井萌と抱き合えてハイテンションな愁が掛け声をかけた。
そして、俺は、自分が引いた割り箸を見ると「王様」と書いてあった。
正直、これで高田朱梨と何かという淡い期待はなくなった。

いや、王様ゲームのルールを無視すればいいんだ。
まぁ、高田朱梨の番号わかんないから賭けだけど、
それでも何もしないよりはましだ!

そして、俺は、こう言った。


「王様俺でーす。
 えっと、お題は、17番の奴、俺と付き合え」