香が帰ってきたのは それから 2時間後だった。 香は控えめに 「ただいま」と言うと 俺の隣に腰を下ろす。 俺は意地悪したくなって 顔を背けた。 「弘輝… ごめんね」 「…………」 「ごめん」 「キスしたい」 香を見つめて 呟く。 「…香?」 「……ごめん」 香はうつむいたまま それっきり なにも言わなかった。