「悠介、悪い 今日は帰る」 悠介に声をかけると 悠介は静かに頷く。 「充、また今度」 「……弘輝 だれ?…その子」 視線を香に向けて 充は言った。 香は俺から離れると 充に近づく。 そして 涙で溢れた瞳で 充の姿を捉える。 「私は… ひ…弘輝の彼女だから」 小さい声だけど 俺の耳にはっきり届いた。 香はそれだけを言って 俺の右手を握る。 俺は「悪い」と 悠介たちにもう一度誤り 悠介の部屋を出た。