我を念じよ。
我を刀となれば鬼気をなぎはらう刀となろう。
我を鏡となれば鬼気を浄化し天へ帰そう。
我を勾玉となるば鬼気共々一夜の花として散るらむ。


樹作の目の前には美しいサクラビメが現れて球を授けた。


よいな。
迷うな。立ち止まるな。
今は無理じゃがお前の踏み出した一歩はすべての光となり地上世界に再び春が訪れるじゃろう。


迷いは心を止め不信や恐怖を植え付ける。
鬼人に飲み込まれる前にお主が断つのじゃ。よいな。


我が名はコノハナノサクラビメ。
我が身は光神よりたまえし球と龍球姫よりたまえし御身なれど我に最後まで仕えてくれるな。守り目よ。


サクラビメ様…。


樹作はこの時自分の役目を初めて知った様な気がした。
この為に…。

この為に生かされた命ならばわたくしとてサクラビメ様と共に守り目として一夜の桜となって散りましょう。