まずは、地取り捜査である。

天災警部は花信刑事と組んで現場周辺の聞き込み捜査を行うことになった。

車で現場へ移動中、運転席の花信刑事が助手席の天災に

「実は、捜査本部では言いませんでしたが、私、思ってることがあるんです」

「おっ、なんだ、言ってみろ」

「あの日はデカチョーさんから、誘ってきたんですよね」

「おうよ」

「しかも、ハナッからオゴリと言うことで」

「うん。わしも取りあえずは財布出す真似くらいすりゃーよかったかなって思った。結構金額いったみたいだったから」

そのほとんどは、警部さんの飲み食いである。

「飲みに行ったのは初めてですよね」

「そうだな。署では、しゃべるがプライベートで会うのは始めてだよ」

「なぜ、三日の日、突然、警部を誘ったんでしょうか」

「さーね。前々から行こうとか思ってたんじゃねーのか。職場のボヤキを聞いてほしかったんじゃないか?」

「そうですか・・・でもその日のその時間帯に奥さんが殺害された」

「だよ・・・花信は、いったい何が言いたい」

「偶然ですかね。ムリして警部を誘った時間帯に事件が起きるなんて」

「ははーん、おま、奴が怪しいと思っちょるな。わしをアリバイを証明してくれる第三者にしたかった・・・と。しかし、急なことで、わしが行かんつったらどうなる」

「いや、オゴリと言えば、警部は百パーセントついて来るのがわかってたんでしょう。何か事件を抱えててもね」

「しかし、アリバイは完璧だぞ。とくに犯行のあった7時半から8時半くらいは、あいつが機関銃のように、ボヤキまくっててトイレにも立っちょらん。それにまだ今の段階で、身内のことを疑って、どうこう言わんほうがいいぞ。捜査が進むにつれてわかってくるだろうよ」

「そ、そうですね」

話信刑事は適当な所に車を止めた。

「ヨッコイショ」

と車から降りた天災は、辺りを見回した。

夜には解らなかったが、なかなかの高級住宅街である。

二人は周辺の聞き込みを開始した。