「なあ…俺とヨリ、戻さん?」

…は!?

「…は? 何ゆうてんの!? 離してよ!」

「嫌」

出ようと思ってもビクともせぇへん。
力…強…。
怖い…。

「やっ! 離して! ――刹那っ!」

無意識のうちに、刹那の名前を出す。
知らない男の名前を出したあたしを、鋭い目つきで睨む純。

「誰『刹那』って。 彼氏? 居らんゆってなかったっけ?」

「お願いっ! 離してっ! 刹那ぁ!!」

刹那助けて!!
刹那ぁ!!

「おい」

聞き覚えのある声がした。

「何してんねん? 離せや」

「誰お前?」

「お前には関係ないやろが。 聞こえんかったん? 離せっつっとるやろ!」

「……刹那…」

来てくれた。
刹那、刹那刹那刹那!!