あなたの大切なもの

「おいー。誰でもええからやらんかいな。先生の仕事増やすなや~」


…きっしょ。
ほんまうっといよな、はげガッパ。

綾女はお構いなしに、続ける。


「ほんまそれ! やる気ある奴なんか居らんよな!」

「ってか、あたしらのクラスでこんなんやる奴居ったらびっくりす――」




ガタッという椅子の音と共に、1つの掌が挙がった。
全員一斉に、その掌の元へと、顔を向けた。



…そうや。
1人だけ居ったわ。
あたしの苦手な アイツ…