あなたの大切なもの

あたしは頷いて、柵を乗り越えて、陸斗の所へと戻った。

「……大丈夫か?」

陸斗のその1言で、涙があふれだした。

「あたし…あたしっ! 自分のせいで刹那が死んだって思って…!」

「………うん」

陸斗は黙って、聞いてくれる。

「あたしが居らんようになったら、みんな幸せになれるって…!」

「うん……」

「死んだら…死んだら刹那に逢えるって思って…。 刹那とずっと一緒に居れるって…」

「でも…お前が死んだら、アイツは絶対悲しむぞ? アイツは、お前にはずっと笑っててほしかってんって…」

え………?

「これ……刹那からの手紙」

「―――――!?」

陸斗の手にあったのは、グチャグチャになった茶色い封筒だった。