あなたの大切なもの

「お~い! 聞こえてる~?」

純だと分かった瞬間、手足が震えだした。
止まらない。

「…ちょっと! なんで電話してきてん? せんでええゆうたやん! てかほんまやめて!」

強気で言い返した。
けれど、そんな言葉、純には通用しない。

「なんでよ。 別にええやん。 電話するゆうたやろ?」

「やめてってゆうたやん! 切るから!」

「ちょっ! 好きやねんって!」

…今さら遅い。
あの頃のあたしは、とっくにないねん。
フラれた時、純を好きやったあたしは消えてん。