毎夜、毎夜、夜が深くなると襖の向こうから二匹の獣の唸り声が聞こえてきた。するとなんだか俺は世界の底に落っこちた気分になり隣の声にかき消されるくらいの小さな嗚咽をもらした。 そしたら隣で寝ている由紀が俺の掌を布団の中で探り当て、ぎゅっと握り締めてくれた。 俺は少しだけ心強くなり、由紀がたった一人この痛みの理解者に思えて冷たい掌を握り返す。 ふたりで早く朝がくることを電球の明かりをぼんやり見つめながら願った。 俺達は世界の端っこで二人で、たった二人で息を呑んでいた。