握りしめた拳を真っ白な壁に力一杯叩きつけた。一階まで響くほどの大きな音に下から母さんの心配する声がした。 朗らかな笑顔を崩さないまま由紀は、唇を噛み締めながら睨み付ける俺をみていた。 張り詰めた空気を由紀の笑顔があやふやにする。きっと由紀は泣かないだろう。怒りもしないだろう。このままずっと笑っているんだ。少し上から。いつだって。 俺は急に馬鹿らしくなって強く握った掌の力をほどいた。沸騰した体が急激に冷めていくのが分かった。