由紀は本から目を放し無表情に俺をみた。 軽蔑しろ。そして自覚しろよ。俺は自分とは違う性なんだって。男なんだって。 そのとき、まるで全身が石化したかの如く指先すら動かせなかった。心臓だけが物凄いスピードで動いていた。 すると由紀はさっきまでの色のない顔が嘘みたいに、瞬時に開花したばかりの花のような明るい笑顔になった。 「へぇー。よかったねぇ!」 そうだ。 由紀はそうやっていつも無邪気に俺の首を締め付ける。 まるで玩具で遊ぶ子供のように。