手の中には透明なガラス玉の付いた指輪があった。

マイトは手に取り、太陽にかざしてみた。

指輪の裏側には何かしらの図のような文字が彫られていた。


「きれいだな」
マイトはつぶやき、その指輪を左手の中指にはめてみた。


ジャストサイズ。


マイトは指輪を気に入り、トニア村に帰ろうと湖に背を向けた。



その時、何かの気配を感じた。


風は止まり、鳥たちはどこかに行ってしまったようだ。


マイトは不安の中、辺りを見回す。


湖を背に右側に林、左側には草原が広がっている。


気配は左側の草原から感じる。


ガサガサ……。
草と草がぶつかる音。


どんどんと音が大きく聞こえてくる。
何かがこっちに向かってくる。


しかし、姿は見えない。

マイトは不安を感じ、ひとまず右側にある林に向かって走った。