振り向くと、手すり向こうに誰かが消えた。 早苗は追いかけようと立ち上がりかける。 「ちょ――」 「待ってろ!」 ヒスイは早苗に鋭く言うと、駆け出した。 「もう!なんなの?」 早苗は頬を膨らませ、また不機嫌に階段に腰を下ろした。 少しすると、ヒスイは一人で戻ってきた。 「どうだった?」 「ユウジ」 「えっ?」 早苗は困惑した。 ユウジなら遠慮なく二人のところに入って来れるはずなのに…