帰り道、方向の違うユウジと別れ、早苗とヒスイは別々の理由で考えこんで唸っていた。
「だから!なんであんたが一番ショック受けてるのよ!」
いい加減イライラして言うと、ヒスイはくわっと目を開いた。
「だってよ?家じゃあんなに怖ぇんだぜ!?
学校じゃなんでも器用にこなすみたいな言われてたけどよ?あんなん・・・なぁ?」
「なぁって言われても困るって」
また二人に沈黙が沈む。
「ねぇ」
早苗が前を向いたまま話しかけた。
「私、不自然?」
「ああ」
「即答かよ。どうしたらいい?」
「さあ?」
早苗の脳内がプツンとなった。
「じゃあなんで今日連れてきたのよ!」
ヒスイは何も答えない。
早苗はため息をついてまた歩きだした。
「いんじゃねぇの?」
「は?」
早苗は耳を疑ってヒスイを凝視した。
「いいんじゃね?こんな感じで」
「?」
――ああ、今のヒスイと私のことか・・え
早苗はまじまじと隣の奴を見つめた。それと同時に少し胸が高鳴るのを感じた。
「な、なんだよ」
「いや、なんでもない。じゃ、私こっちだから」
「いいよ、送ってく。お前危ないから」
「うっさいな!一言余計!」
そう言って早苗は顔を背け足早に歩いた。
ヒスイは首を傾げて小走りについていった。


