流れ橋

あれから、数日がたって夏休みに入った。

幸い、わたしは、赤点をとることなく、バイトに精を出している。
海に近いせいなのか。この店は、海の家のかと突っ込みを入れたくなるほど、お客がひっきりなしに来ていた。
わたしと田中くんは、今日もお互いに、忙しく働いている。

わたし達に、夏休みはなかった。田中くんとも結局、何の進展もなかった。期待したいが、今の状況では無理だった。だから、わたしは、最近イライラしている。

その上、毎日のように上田がお店にやってきて、くだらない自慢話などしていた。

「アイツ、また来たのか。今日は、何て?」田中くんは、少々切れ気味である。

「知らないよ。あんなに日に焼けてさ、海で遊んで来たんじゃないの。」わたしは、うんざりしながら言った。
「おい、有川あっち見てみろ。あの二人。」言われた方向を見てみると、先輩と朋子が、手を繋いでこちらに歩いてくる。

わたしは、大きくため息をついた。