流れ橋

「何て書いたの?今、教えてよ。」わたしは、言った。

自転車は、ガタガタと揺られながら橋を渡っていく。
わたしの家は、もうすぐそこだ。

「この橋、今にも壊れそうだな。」橋を見下ろしながら、心配そうだ。

「大丈夫だよ。ミカケよりずっと強いから。」わたしは、言った。
「そうなんだ。まるで、有川みたいだな。」彼は、冗談っぽく笑っている。

「わたしは、こんなにボロボロじゃないよ。」少し、むくれながらいった。

「冗談だよ。」田中くんは、いった。

それから、彼は、自転車をとめて橋から川を眺めだした。

わたしも一緒に、川を眺めた。川の流れは、穏やかで見ていると心が和む。

「川の流れを見てると、なんか、気持ちが落ち着くね。ちょっと、渋いかな。」わたしは、いった。

田中くんは、川から目を離しわたしを見た。「そんなことない。疲れてんだよ、きっと。あのさ、卒業アルバム今でも封印してんだろ?押し入れの中に。」