流れ橋

上田は、わたしの肩に優しく触れた。そして、髪を撫でている。

「有川は、いつも頑張ってたんだろ。花火を見たいって、何で思っちゃいけないの。そうだろ、だから、そんなふうに自分を追いつめるなよ。」

「上田くん。」わたしは、胸がつまって涙がこぼれた。

「おい、隼人。お前、何やってんだよ。」目の前の光景に驚いた田中くんは、自転車をほおり投げて、駆け寄ってきた。

わたしは、あわてて涙をふいて上田から離れた。「違う、誤解だよ。」そして、上田を殴りかかろうとする田中くんを止めに入った。

「ったく。有川、隼人には、気をつけろよ。コイツ、すぐ手をだすからな。」田中くんは、横目で上田を睨みながらいった。

「お前に、いわれたくないよ。」上田が、ボソッと呟いた。

「何か、言ったか。」田中くんは、声を荒げた。

「何もいってないだろ。」上田が、ふてくされた声を出していた。
わたしは、上田の話しに引き込まれていた自分を反省していた。