流れ橋

暗い道を通り抜けると、まだ大勢の人が出店の周りにいた。

花火が終わっても、ちょうど帰り道にあるので、また立ち寄ってしまうのだ。

人の流れは、減りそうになかった。

「人多いけど、大丈夫?」田中くんがいった。

「平気。それに、朋子を待ってなきゃいけないし。」わたしは、言った。

わたし達は、どんどん人混みの中に入っていった。

それから、焼き鳥とクレープを買って近くのベンチに座った。わたしは、クレープを食べながら、人の流れを見ていた。

いつもなら、こんなに大勢の人がいる場所では、人酔いしてしまうが、今夜は、大丈夫だった。心地よい夜風も吹いている。

「朋子と先輩遅いね。」わたしは、ポツリといった。

「うまくやってるよ。山下、先輩に告白されてるかも。先輩、今日こそいうんだって、気合い入れてたから。」焼き鳥をほおばりながら、田中くんがいった。

「そうなんだ。実は、朋子も同じこといってたんだ。」