流れ橋

それから、急に真顔になってこういった。「有川は、そのままでいいんじゃないか。俺は、そう思うよ。だから、あんまり考えすぎるなよ。」

わたしは、「分かった。」と一言だけ答えた。彼の気持ちが痛いくらい伝わってきたからこれ以上の言葉が出なかった。

田中くんは、優しく笑っている。わたしは、笑い返した。

「よし。なんか、腹減ってきたなぁ。出店でも見に行こうか。」

「わたしもお腹すいてきたみたい。」わたし達は、再び暗い夜道を提灯の明かりを頼りに歩き出した。