流れ橋

「これから、どうする?何か、腹減ったな」先輩が行った。

「また、出店が並んでる空き地に戻ろうか。みんなどうする?」

反対するものは、いなかった。わたしも花火が終わった途端、お腹が鳴ってしまった。

幸い、周囲の騒音にかき消されたけど。わたし達は、重い腰を上げ、ゴザを海の家に返しに行った。

外から、店の様子がちらりとうかがえる。

店内は、洋楽が流れていて、若者であふれている。

チラホラと見慣れた顔の人が紛れ込んでいた。

「藍子、あっち見ちゃダメ。」突然朋子が、体を店と反対方向にひねった。

「どうしたの?店に誰かいた?」わたしが、恐る恐る聞いた。

すると、「上田が、店の中にいる。アイツ立ち入り禁止なのに。言いつけてやる。」朋子は、バックを振り回して言った。

「えっ、アイツがいるの?見つからないようにしなくちゃ。」わたしは、朋子と海の家から離れようと会場の出口に向かって歩き出していた。