「お前も話は聞いた事はあるだろう。今月末、お前とエイミー嬢が婚約を交わすが……」

「その話かよ」

 ルイスはそう言うと、拳を作る。次第に眉間に皺を寄せ始めた。

「俺は嫌だって言ってるだろ!」

「そう言うな。王様直々の命令だ。避けることは出来ない」

 レナートはそう言い、書類に目を通す。そして、筆を取り何かを書き始める。

「それに、ソレイユ家と繋がりを持てば、グローヴァー家はもっと繁栄する」

 ソレイユ家とは、シュヴァルツ三大貴族で一番の勢力を持つ大貴族である。つまり、グローヴァー家よりも地位は上という事になる。

 そして、今回はそのソレイユ家の令嬢のエイミー嬢と、グローヴァー家の子息であるルイスが、王様の命により婚約させられるというのだ。

 しかし、当人であるルイスはこの話を快く思っていなかった。