「まあ、そう言うな。折角、良い話を持って来たのだから」

 そうレナートは言い、部屋の置くにある自分専用の椅子に座る。次いで、継母がレナートの側まで歩き、何枚かの書類をレナートに渡す。

「あんたが良い話って聞かせる話は、俺にとっては大抵、良い話じゃないハズだ」

 ソファーに座り直しながら、ルイスは横目で父親を睨み付ける。険しい顔付きからして、相当嫌な目に合っているようだ。

「ルイス、父親に歯向かうのは辞めなさい。仮にも、この方はグローヴァー家の領主ですよ?」

 継母はルイスにそう言うと、踵を返し薄笑いを交わす。その笑みには、親しみを一切感じられなかったし、ルイスも笑みを返そうとはしなかった。流石、血が通わない親子同士と言うべきだろうか。

「で、用件は何だよ?」

 ルイスはツンとそっぽを向きながら、父親に尋ねる。窓から見える夕日を覗いている所を見ると、話を聞くようには見えないが。