「貴方はグローヴァー伯爵家の家来で、ルイス様専属の護衛用人ですわよね?」

 そう聞かれ、イオンは返事を交わしながら頷く。するとエイミーはイオンを鼻で笑い、再びイオンの頭上から話を始めた。

「では、私とルイス様が婚約を交わせば、貴方はルイス様と私の専属家来になるのですわね。沢山使ってあげますわ、喜びなさい」

「…………」

 無言な所、彼の返事は否定的なのだろう。しかし、家来人と公爵令嬢、身分が違い過ぎる為の敢えての沈黙。ルイスはこの意味が薄々分かったが、彼より上の身分であるエイミーは了承したと思ったのだろう。涼しい笑顔を浮かべていた。

 そんな行動をエイミーから見せつけられたイオンは、良い思いをしなかった。それは、側で見ていたルイスが感じるぐらいだ。