近くで見るスピナッチの闘技場は、市場から眺めるよりも格段と勇ましく見えた。それだけに、ルイスのやる気も増して行く。

 人が行き来をしている所を見ると、そろそろ試合が始まるのだろうか。どの人々も、普段から鍛えているという雰囲気が漂っている。

「なんか俺、燃えて来たんだけど!」

 ルイスはそう言うと、小さく拳を作り、やる気を出していた。そんな様子をイオンは和やかに見ていたが、ふと背後を見ると、何かに気付いたのか不思議そうにルイスに話掛ける。

「ルイス様、あの方とお知り合いですか?」

 イオンにそう聞かれ、ルイスはイオンが差す方を向いた。そこまでは良かった。背後を見るや、ルイスは身震いをせざる負えなくなった。

「ルイス様、どうされましたか?」

 急に顔色を変えたルイスを心配したイオンは、ルイスに尋ねる。しかし、ルイスは意外な言葉を発した。