聞き慣れた声に顔を上げれば、 瞬間、ふわりとよく知る香りに包まれて。 伸びてきた華奢な腕に、抱き留められたと気付いたのは数秒後のことだった。 「か、なえ……っ!?」 キャーッ、とか悲鳴が聞こえたけど、無視だ無視。 なんで叶がここに。 「はじめまして…? 彩姫の彼氏の、本条叶(ホンジョウ カナエ)です」