夜中彼に会うと
そんな辛い事も忘れられた。


でもある日、そんな傷を癒す時間さえも奪われてしまう。


近所の人が夜中窓から彼が家に入るところを見て母に言っていたのだ。


なぜか直接母から怒られる事なく、父を通じて注意された。


「夜中に会わなくてもいいだろう?向こうの親御さんも心配しているかもしれないぞ」



父はあの自殺未遂以来あまり私に厳しく言わなかった。



「わかった。ごめんなさい。」


父が気を遣ってくれている事がわかったから
私も反論する事なく素直に謝った。




どうしよう……


今日来たらお昼に会うように話してみよう。


そんな事を考えている時だった。


また不快な言葉が聞こえてくる。




リビングから私の部屋は廊下を挟み離れているというのに
わざと子器を持ち歩きながら部屋の前で電話をする母の声。